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未だに、管理人の記憶に鮮明に残っている自動車はメルセデス・ベンツCクラスC230(W202)。
当時、我が家にやってきたW202のボディカラーはシルバー。太陽光が眩しいくらいボディに反射して輝いていました。
その後、10年以上、W202は我が家の移動手段として走り続けたのでした。
では、20世紀のメルセデスらしい、味わい満載のW202について呟いてみたいと思います。
記憶に残る高級車
ここで、W202のスペックを紹介しておきます。
メルセデス・ベンツC230(W202) | |
全長(mm) | 4,495 |
全幅(mm) | 1,720 |
全高(mm) | 1,420 |
車両重量(kg) | 1,390 |
ホイールベース(mm) | 2,690 |
最小回転半径(m) | 4.9 |
エンジン | ガソリン
M1117型 2,294cc DOHC直列4気筒 |
内径×行程(mm) | 90.9×88.4 |
圧縮比 | 10.4 |
最高出力(PS/rpm) | 150/5,400 |
最大トルク(kg・m/rpm) | 22.4/3,700-4,500 |
変速機 | 5速AT |
駆動方式 | FR |
サスペンション | F: ダブルウィッシュボーン
R: マルチリンク |
タイヤ | (純正)ピレリーP6000
195/65R15 |
ブレーキ | F: Vディスク
R: ディスク |
10・15モード燃費(km/l) | 10.2 |
燃料タンク容量(L) | 62 |
Cクラス、W202のボディサイズは30系プリウスとほぼ同じ。
4気筒NAエンジンを搭載するW202の車両重量は1,390kg。30系プリウスの重量は1,350kg。
プリウスはストロングハイブリッドを搭載していることもあり、ニッケル水素バッテリーやインバーターのハイブリッドシステムが車体重量を押し上げています。
W202のシャーシとボディはメルセデス・ベンツらしくコストが掛けられていたこともあり、当時の同クラスセダンと比較してやや重いと言えます。
W202のドライブフィールは独特の世界があり「最善か無か」の哲学がCクラスにもつぎ込まれていました。
W202は、かつてのEクラス、W124とは設計思想が違うと言われていました。
しかし、W202は明らかに当時のメルセデス文法をベースに次世代への橋渡しとなるモデルであったことは間違いありません。
抜群のボディ剛性
メルセデス・ベンツのボディ剛性の高さは昔から定評があります。我が家のW202が引退した時のオドメーターは12万km台。その時点でも、ボディや内装からの軋み音は一切ありませんでした。
日本車の場合、セダンであっても新車登録から7~8年以上、走行距離が70,000~80,000kmを超えてくると、ボディの各部から軋み音が出始めることがあります。
ハッチバックやワゴンの場合、わずか30,000kmあたりから軋み音が出始めることもあります。
もちろん、これは車種によって違いがあるため、一概に言えません。日本車の場合、走行距離が伸びるにつれて、明らかにボディ剛性の低下が感じられます。
メルセデスのボディ構造と鋼板、溶接には、その時代の先端技術とコストが投入されているとしか思えません。
スタビリティが高いサスペンション
自動車のコーナーリング性能を高めるためには、スプリングレートを上げてショックアブソーバーの減衰力を伸びと縮み共に高め、スタビライザーの直径を太くすればロール剛性は上がります。
しかし、そのようなセッティングは乗り心地の悪化を招きます。
一般公道はアンジュレーションや路面の劣化による凸凹、道路のつなぎ目、マンホールの出っ張り等で荒れています。道路が開通した時は鏡のようなフラット路面でも、年月の経過と共に路面は荒れていきます。
理想的なサスペンションであれば、荒れた路面を高速走行しても、タイヤが可能な限り路面を捉え続け、コーナーリング時もタイヤの路面に対する接地性変化が少なくなります。
その理想に近いサスペンションが与えられた自動車として、メルセデス・ベンツが筆頭格。
山間部の路面が荒れている峠道やウエット路面、高速道路、雪道であっても、サスペンションがタイヤの運動性能を可能な限り引き出すことでスタビリティが高まり、車体が安定し、ドライバーの安心感に繋がります。
W202は操舵に対して初期のロールスピードが速いものの、ボディがロールした時点で車体が非常に安定します。当時のメルセデスはW124を含めて、比較的ボディをロールさせるサスペンション設計でした。
今のメルセデスを含む欧州車は、ボディをあまりロールさせない方向でサスペンションが設計されているため対照的。
時代と共に自動車設計のトレンドが変わっていきます。
当時のメルセデスのサスペンションは近年のトレンドとは異なります。しかし、スタビリティが高いという意味では、根本的な設計思想は大きく違わないのではと思います。
独特のハンドリング
W202は油圧式ボール・ナット式ステアリングを採用し、ステアリングダンパー付き。
ボール・ナット式は路面からのキックバックに強く、独特の操舵感があります。これは構造上、ステアリングのセンター付近に若干の遊びがあります。これが長距離運転時のドライバーの疲労軽減に寄与します。
BMWのようなクイックなハンドリングを好むドライバーはボール・ナット式は少々曖昧なステアリングフィールに感じるかもしれません。
しかし、メルセデスは当時、最適解としてボール・ナット式ステアリングを採用したのでしょう。
W202のステアリングフィールは近年の欧州車と比べてねっとりとしています。油圧式は電動パワーステアリングと比べて操舵感が滑らかで電動パワーのような違和感が全くありません。
操舵が最後まで効いてくれる
カーブでW202のステアリングを深く切り込んでいくと、最後の最後まで操舵が効いてくれます。
この操舵感を言葉で表現するのは難しいものの、例えば、峠道を走行中、ドライバーが想像していたよりも回り込んでいるヘアピンカーブに出くわす時があります。
所謂、ブラインドコーナー。
その時、ドライバーはブレーキペダルを踏んで、更にステアリングを切り増します。この時、フロントタイヤの接地性変化が少なく、素直に追従して曲がっていきます。
当時、メルセデスは電子制御ではなく、機械とスプリング、ショックアブソーバーの組み合わせだけで、このようなハンドリング性能を実現していたのです。このことからも、安全思想の哲学を垣間見ることができます。
実用性を重視したDOHC直列4気筒エンジン
W202のエンジンは縁の下で確実に仕事をこなすようなキャラクター。当時のメルセデスの4気筒エンジンはもっさりと回るキャラクターであり、ホンダのVTECエンジンとは対照的。
C230、W202の2,300cc、DOHC直列4気筒エンジンは中低速トルクが太いこともあり、市街地走行では2,000rpm+αも回せば、交通の流れに乗ることができます。
それでいて、アクセルペダルを床まで踏み込むと、6,200rpmのレッドゾーンまでカムに乗った力強い加速を与えてくれます。
C230のカタログのエンジンスペックは150PS/5,400rpm、22.4kg・m/3,700~4,500rpm。このデータは何の変哲もありません。
しかし、W202のエンジンは一言で言うとドライブしやすいエンジンなのです。
このエンジンの難点を言うならば、音と振動がややキャビンに入ってくるところ。この点については、次期CクラスのW203で改良されました。
タイトで優れた5速AT
W202のトランスミッションは当初、4速ATでした。その後、C230から電子制御5速ATが搭載され、燃費性能の向上が図られました。
ズルズルと滑っている日本車のATからW202に乗り換えると、そのATの出来の良さに感銘を受けます。
これは、まったくと言っていいほど違和感が無い緻密なシフトスケジュール。ドライバーがシフトアップ、ダウンしたい時に変速してくれるようなAT。
W202のトルクコンバーターがタイトなこともあり、これはドライブフィールの向上に繋がり、燃費にもプラスに貢献します。
重いオルガン式アクセルペダル
Eクラス、W124のアクセルペダルが重いのは有名ながら、Cクラス、W202のアクセルペダルも重め。当時、メルセデス・ベンツに対して「動くことを拒む」「急発進を防ぐ」等のコメントが飛び交っていました。
アクセルペダルが重いと、街乗りや峠道で右足が鍛えられて好都合?ながら、もう1つのメリットは高速巡航が意外と楽なのです。
今のメルセデス・ベンツのアクセルペダルはAやBクラス、CLA、GLAを除いて、オルガン式アクセルペダルのままながら、踏み込む時の重さは日本車に近づいています。
風切り音が少ないボディ
2009年頃から、世界的な燃費戦争がスタートしたこともあり、Cd値を低減した車両が増加していきました。多くの日本車はCd値の低減と共にAピラーが寝かされ、スタイリッシュなボディデザインが増加していきました。
一見、Aピラーが寝かすことで空気抵抗が低減され、空気の流れがスムースになるように感じます。
しかし、Cd値が小さい代表例の30系プリウスで高速道路を走行すると、意外とAピラーから風切り音が聞こえてきます。
他方、1993年に日本で販売開始となったW202のAピラーは比較的、立っています。W202は空力面では不利な印象を受けます。
しかし、不思議なことにW202で高速道路を走行しても、Aピラーから風切り音がほとんど聞こえてきません。
疲労が少ないシート
W202のシート座面にはヤシの木の繊維が使われていました。これは「呼吸するシート」とも言われ、通気性が良く、季節を問わず快適な移動をサポートしてくれます。
W202のシートは何の変哲もないデザインで別段、ホールド性が高いわけではありません。(リヤシートの出来はフロントより上)このシートは明らかに硬めながら、長距離運転でも疲労が非常に少ない特徴があります。
W202のシートはフロントとリヤ共にCクラスW204やW205のシートより上と断言できます。初代Cクラス/W202のシートはメルセデスらしい本物のシートを採用していたのです。
しかも、10年10万kmを経過してもシート表皮に擦り切れが見られず、シートクッションのへたりが少ないのも特徴です。
W202の1本ワイパー
W202は1本ワイパーを採用。これは、EクラスのW124と同じ設計でワイパーアームの動きに特徴があります。
ワイパーを作動させるとワイパーアームが「M」の字に伸縮します。アームが停止状態から動き出すと同時にアームが伸び始め、フロントウインドウの左右上部に差し掛かる時、アーム長がMaxに伸びます。
しかも、1本のワイパーを素早く動かすことで、雨天時の視界を確保しています。
このワイパー動作により、フロントウインドウに付いた水滴を広い面積で拭い取ることができます。よって、ドライバーの死角が減り、安全運転に繋がるわけです。メルセデスの安全思想はここまで追及されていました。
ただ、このワイパーには難点もあります。
雨の日の信号待ちの時、水滴が左側の歩行者へ飛んでいくのです。歩行者がいなければ問題が無いものの、これがデメリットと言えばデメリットと言えます。
優秀な燃費
W202、C230の10・15モード燃費は10.2km/l。今の時代、このスペックでは烙印を押されてしまうものの、C230の実用燃費はカタログデータとほぼ同じ。
・市街地走行:9km/l前後(夏場のエアコン使用で8km/l前後)
・高速道路の走行:13~14km/l
当時の2,300ccの直4エンジンとしては優秀な燃費と言っていいでしょう。これは、当時の4気筒、2,000ccクラスの日本車に近い燃費データです。
C230、W202のメンテナンスと故障、修理
W202の維持費は、まだクルマが新しいうちは日本車と何ら変わりません。車歴が8年以上、走行距離が約80,000km前後を超えてくると、細かなトラブルが発生してきました。これは、日本車と同じ。
そして、10年10万キロを超えてくると、電装系の故障が出始めました。以下は、主な修理箇所です。
なお、バッテリーやタイヤ、ブレーキパッド、エンジンオイル、ブレーキフルード、Vベルトは全ての自動車にとって消耗品のため割愛します。修理は全て購入したヤナセで行いました。
ATF交換
ATのATFは約40,000km毎にヤナセで交換を実施しました。AT本体のトラブルはありませんでした。
ブレーキローター交換
欧州車のブレーキローターは消耗品。確か、走行距離が80,000kmあたりでフロントのブレーキローターを交換しました。費用は1枚1万円未満。
ATが2速に固定されてしまう
5速ATを制御するコントロールユニットの不具合が発生すると、ATが2速固定になってしまいます。これはエマージェンシーモード。このユニットを交換して約9万円。
エンジン不調
エアマスセンサーに不具合が発生すると、エンジン不調に陥ります。エアマスセンサーを交換すると約9万円。ついでに、イグニッションコイルとプラグも交換しました。
電動格納式ドアミラーの故障
ドアミラーのハーネスの被膜劣化、ショートによりドアミラーの開閉ができなくなります。これは、W202の定番とも言える故障。この場合、アッセンブリー交換です。交換費用は高いです。(^^);
天井内張りの剥がれ
天井内張りの剥がれも定番。しかし、これを修理しないまま下取りに出しました。
輸入外車との付き合い方
[Mercedes Benz C-Class W202]
ヤナセで故障修理、パーツ交換を依頼すると、安くはない費用が発生します。
しかし、古くなったメルセデス・ベンツでも、ヤナセは補修部品をかなり保管しているため、概ね修理可能。しかも、すぐにパーツが入庫します。これがヤナセの凄いところ。
いつ売れるか分からない部品でも、ヤナセのパーツセンターで補修部品を抱えている以上、金利負担、倉庫費用、管理費、人件費、光熱費等が発生しています。察するに、ヤナセは相当の固定費と変動費を負担しているのは想像に難くありません。
このような背景からも、輸入外車の補修部品が割高になってしまうのは致し方ないのです。
古くなったメルセデスを維持管理していくのであれば、パーツをネット検索してDIYで部品交換、修理していくことで維持費を抑えることはできます。イタ車と違い、メルセデスやBMWの補修部品の供給量は豊富。
ただ、ヤフオク等で売られている純正以外のサードパーティー製パーツの購入には、それなりの知識が必要です。
また、近年のメルセデスは電装系が高度に複雑化しているため、パーツ交換の際、メルセデスの専用テスターでコーディング作業が必要となるケースが多々あります。
近年のクルマはエレクトロニクス化が加速していることもあり、DIYの限界点も見え隠れします。
250万円前後の日本車を5年で乗り換えていくのであれば、コンパクトなメルセデス・ベンツを購入して10年間乗るのも1つのカーライフ。
メルセデスには日本車には無い魅力に満ちているのも事実。乗れば乗るほど、メルセデスの奥深さの虜になってしまうオーナーも少なくないのです。
自動車とどのように付き合っていくかはオーナーそれぞれ。W202やW124のような昔のメルセデスと長く付き合っていくのも1つのカーライフなのかもしれません。
確実に言える事として、W202やW124のように走りに重厚感とまったり感のある独特なドライブフィールを与えてくれる自動車はもう、二度と出てこないでしょう。
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