エンジンマウントの位置
エンジンフードを開けて、エンジンルームを眺めると、自動車によってエンジンマウントの設置位置が異なります。
日本車のエンジンマウントは、比較的高い場所にセットされています。車体とエンジン設計上の理由なのか、工場ラインの組み立て行程上の理由なのかもしれません。
一例として、30系プリウスのエンジンマウントは高い位置にセットされ、エンジンルームの上部からエンジンを吊るしているような設計。
一方、メルセデスのエンジンマウントは、非常に低い場所に設置されています。パッとエンジンルームを眺めただけでは、マウントを確認できません。
CクラスW204のエンジンルームを覗き込むと、地面すれすれのエンジンメンバーにエンジンマウントが装着されています。
自動車メーカーの思想
自動車の大物パーツとして、ボディ、エンジンとトランスミッション、シート、燃料タンク、サスペンションASSY、タイヤとホイールが挙げられます。
これらの中で、エンジンは一番の重量物。重量物をボディの上部からぶら下げるより、可能な限り低い場所から支える方が当然、重心が下がります。
自動車は走行中、加速、減速、コーナーリングを繰り返しています。
エンジンを支えるエンジンマウントの設置位置が低いほど、自動車にとって有利に働きます。エンジンマウントの位置が低ければ低いほど低重心化し、ステアリングを切っても車体がロールしにくい方向に作用します。
エンジンマウントの設置位置を気にする人は少数派かと思われますけど、エンジンマウントの位置を確認することで、自動車メーカーの思想が見えてくるような気がします。
エンジンマウントの交換時期
日本車の場合、走行10万km以内でエンジンマウントを交換するケースは少ないと思います。
一方、重いV6やV8エンジン搭載車の場合、エンジンルームの熱とエンジンの重量によりエンジンマウントの劣化が進み、走行10万km以内で要交換となる場合があります。
停車中のアイドリング時、エンジンの振動がシートを通して乗員に伝わってくるならば、一度、エンジンマウントの状態をチェックしたいものです。