車の長距離運転で疲れない車とは?車選びで要注意のチェックポイント

夜のドライブ

自動車とバイクの運転を比べると、長距離運転で疲れるのは「バイク」と答える人がほとんど。では、なぜ?

「ライダーはバランスを取りながら運転するから」

「バイクの運転は全身の筋力を使うから」

「ライダーは風の抵抗を受けるから」

他にも、ライダーの疲労に繋がる要因は複数考えられます。これらの中で、風の抵抗はライダーを疲労させる大きな要因の1つ。

カウル付きのバイクであっても、ライダーは風の抵抗を受け続けます。風を受け続けると意外と体力を消耗します。

・風の抵抗を受けることで、ライダーの体温が奪われる。

・体のホメオスタシスが機能して平熱を維持しようとする。

・体のエネルギーを消費する。

・疲労に繋がる。

例えば、海釣りで強い潮風を受けていると、軽い疲れを感じてなんとも身体がだるくなります。体温が奪われると体力を消耗します。

一方、車の運転の場合、オープンカーを除いて窓を閉め切って運転すれば、同乗者を含めて風の抵抗を受けることはありません。しかし、車で長距離運転すると、ドライバーと同乗者は共に疲労を覚えます。

乗り物が乗員に及ぼす疲労とは一体何なのでしょうか?そして、長距離走行しても疲れにくい車とは?

なぜ長距離運転すると疲れる?

高速道路ドライブ

新幹線で2~3時間移動しても体の疲れは感じません。飛行機でも同様。ところが、車で2~3時間移動すると、車種によっては疲労を感じます。

新幹線の車体は微妙に揺れています。飛行機は乱気流に巻き込まれると、機体の動きが乱れます。しかし、これらは車の揺れよりは少ないと言えます。

自動車は加速、減速、右左折、停止を繰り返しています。そして、車体が路面の凸凹の影響を受け続けます。道路は上り坂もあれば、下り坂もあります。

道路は千変万化していくため、自動車は列車や飛行機に比べて車体が揺れやすい環境下で走行を繰り返しています。

疲労に繋がる要素

車体の振動

サスペンション

自動車の動き-ヨーイング、ピッチング、ローリング
サスペンションが硬すぎても柔らかくても乗り心地が悪化する

サスペンションを締め上げることで操縦安定性が高まるものの、乗り心地が悪化します。

反対にサスペンションを柔らかくすれば、路面の凸凹をしなやかに吸収するものの、ロールやピッチングが出やすくなります。

また、サスペンションが柔らかいと路面のアンジュレーションで車体の上下動が大きくなりがち。乗員によっては、これが車酔いの原因になることもあります。

足を締め上げても柔らかくしても乗り心地が悪化し、長距離移動時の乗員の疲労に繋がります。

ピッチング

ボディ形状やパッケージング、サスペンションのセットアップ等の複合的な理由でピッチングが出やすい車を運転していると、ドライバーの眼球が上下に動きます。

長距離運転で目が疲れやすいならば、車のピッチングが原因の可能性があります。

ショックアブソーバー

ショックアブソーバーの性能次第で乗り心地が大きく変わります。ショックアブソーバーの伸び側と縮み側の減衰力のみならず、減衰特性によって乗り味が変わっていきます。

タイヤ

スポーツタイヤほどケーシング全体の剛性が高く、乗り心地が悪化します。反対にコンフォートやプレミアムタイヤはケーシング剛性を適度に抑えて、乗り心地が確保されています。

低偏平タイヤほど、エアボリュームが少なくなる傾向があります。最適化されたサスペンションが与えられたモデルを除き、乗り心地が悪化する傾向があります。

あと、もちろんタイヤの空気圧と乗り心地は密接な関係があります。

シート

シートは各自動車メーカーの思想が大きく反映される大物パーツ。

シートは第二のサスペンションということもあり、シートの良し悪しがドライバーと乗員の疲労を大きく左右します。

多くの車のシートはウレタン製。ウレタンの硬度に違いがあり、表皮の張り具合も異なります。シート形状も車種によって様々。

出来がいいシートほど、長距離運転で疲労が少ないのは言うまでもありません。

また、人それぞれ身長と座高、手足の長さが異なるため、シート調整でドライビングポジションが決まるシートが望ましいもの。

視線移動(UI)

メルセデス・ベンツのスピードメーターパネル

メーターパネルとカーナビの位置関係、そして各スイッチ類の場所と操作感が適切であれば、ドライバーの視線移動は少なくなります。

インパネにスイッチ類が多く、探さなければ、どこにスイッチがあるか分からないようでは、走行中のドライバーの視線移動が多くなります。

カーナビを含めた各スイッチ類のUIに問題があると、ドライバーの視線移動が増えて目の疲れが蓄積されやすくなります。

直進安定性

車の直進安定性はカタログでは分からない性能。

継ぎ接ぎだらけの荒れた一般道から高速道路まで長距離運転することで、その車の直進安定性が分かります。

ミニバンや1BOXは当然ながら、ハッチバック車でも横風の影響を受けやすい車種があります。

路面変化や横風、雨といった外的な条件が変化しても真っすぐ走ってくれる車ほど、ドライバーが受けるストレスが少なくなります。

ステアリングフィール

電動パワーステアリングの採用が始まった初期の頃、ドライバーが違和感を抱くパワステ車が少なからず存在していました。

ステアリングがN付近(中立位置)で妙に固まっていて、ステアリングを回していくと操舵感が変化する車種がありました。

長年、油圧パワーステアリング車に乗り慣れているドライバーが電動パワステ車をドライブすると、ステアリングフィールに違和感を抱いたはず。

電動パワーステアリングの操舵感は随分、改良されてきたようですけど、ドライバーが違和感を抱くパワステは長距離運転で腕や肩に疲労が蓄積される場合もあります。

エンジン性能

長距離ドライブでもドライバーが疲れにくいエンジンとは、ドライブしやすいエンジンだと思います。

ドライブしやすいエンジンとは、ドライバーがアクセルペダルを踏んでからスムースにトルクが立ち上がるエンジンではないでしょうか。

自動車メーカーが公開しているエンジン性能曲線を眺めたところで、ドライブしやすいのか否かは分かりません。

チューニングカーのようなドッカンターボ車は、ある回転域から突然パワーとトルクが立ち上がるキャラクターのため、速く走るためのエンジン。また、中低速トルクが細い高回転型エンジンは長距離運転向きとは言えません。

エンジンのキャラクターが意外とドライバーの精神的な疲労を左右します。

エンジン音

エンジン音は常にドライバーのみならず、乗員の鼓膜を振動させます。ドライバーと同乗者が不快に感じるエンジン音は長距離運転で疲労が蓄積する原因です。

タイヤのパターンノイズ

タイヤと路面が接触する面から発生するパターンノイズ。

スポーツタイヤほどパターンノイズが出やすく、コンフォート系タイヤはパターンノイズが抑えられています。タイヤによってはステアリング操作して横Gが発生すると、パターンノイズが増加することもあります。

タイヤのロードノイズ

タイヤのロードノイズとは、タイヤからホイール、ハブ、サスペンション、アッパーマウント部、そしてキャビンに伝わってくる「ゴー」という音。

低偏平タイヤほどロードノイズが大きくなる傾向があり、またコストダウンされている車種ほどロードノイズが気になる傾向があります。

風切り音

一般道から高速道路に入ると、Aピラーから発生する風切り音が気になる車があります。CD値が低く空力性能が優れた車であっても、意外と風切り音が気になるケースがあります。

空力性能に優れている車は概してAピラーが寝ていて、空気抵抗が抑えられています。しかし、それと風切り音の発生は別のようです。

内装部品の軋み音

1990年代までは、大衆車でも内装にソフトパッドが採用されていました。よって、内装部品の軋み音は、ほとんど問題にはなりませんでした。

そして、2000年あたりからダッシュボードからコンソールボックス、ドアの内張りまで硬質プラスチックやPPが採用され始めました。これが理由で、走行中の内装部材の軋み音の問題が浮上してきました。

内装部品の軋み音は車としての質を下げてしまう要因の一つ。ミシミシといった軋み音は乗員がストレスを感じる要因の一つ。

後席に乗っているおじいちゃんとおばあちゃんは内装部材の軋み音が耳障りだと、心地よく寝ることができなくなります。

ボディサイズ

単純に車体が大きな車ほど重くなり、乗り心地が良くなる傾向があります。言い換えますと、軽自動車は乗り心地の面で不利と言わざるを得ません。

しかし、コンパクトカークラスで例外もあるため、一概には言えないのが車の奥深いところと言えます。

ボディ形状

車のボディ形状には、セダン、ステーションワゴン、クーペ、ハッチバック、ミニバン、SUV、1BOX、オープンカー等があります。

これらの形状の中で車高が高い車ほど重心が高く、ロールやピッチングが出やすくなります。同時に横風の影響を受けやすくなります。

これらは物理的に避けることができないもので、電子制御でどうにかなるものではありません。そこで、ボディの揺れを抑えるためにサスペンションを固めると、乗り心地が悪化します。

車高が高い車ほど、乗り心地と操縦安定性のバランス確保が難しくなることから、車高が高い車を運転すると、メーカー開発陣の苦労が窺える時があります。

ボディの見切り

ボディの見切りが良くない車を運転していると、細い道で対向車とのすれ違いや路肩に車を寄せる時にストレスを感じます。

また、Aピラーの位置と角度によっては死角が増えてしまい、ドライバーにとって周囲の視認性が低下します。

長距離運転で疲れない車を探す

以上のようにドライバーと同乗者が走行中にストレスを感じ、疲労の蓄積に繋がる要因は複数あります。上記以外にもストレス要因はあります。

ストレス要因が多いほど、長距離運転で疲れやすい車。反対にストレス要因が少ないほど、長距離運転で疲れない、または疲れにくい車。

カタログでは豪華で立派な車に見えても、それと長距離運転で快適な車は別の話。

カーディーラーの試乗車に乗り込んで10分、20分程度のドライブで乗り心地、乗り味、エンジンのトルク特性、ステアリングフィールを体感することはできても、高速走行を含めた長距離移動時の快適性を体感するのは不可能です。

なんとなく車を選んで購入したものの、日常の移動で不満を抱いていたり、長距離運転で意外と疲れやすい事に気付くこともあります。

自分の好みや車との相性は人それぞれ。

もし、気になる車があれば、レンタカーを借りて1日、または、1泊2日でじっくり長距離ドライブすることで、その車の本当の素顔が見えてきます。

車の買い替えを検討しているのであれば、是非、レンタカーを利用してテストドライブしたいものです。管理人もかつて、レンタカーを借りて購入車両を決めたことがあります。

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