随分前から楕円やD型タイプのステアリングホイールが増えてきました。
一例として、TOYOTAの20系プリウスは楕円ステアリングを採用していました。30系も同様。
円形に近いステアリングホイールに慣れているドライバーが楕円やD型ステアリングホイール採用車をドライブすると、違和感を抱くかもしれません。もちろん、人間は変化に対して徐々に順応するもので、次第に気にならなくなっていきます。
この楕円ステアリングやD型ステアリングについて考えてみたいと思います。
楕円ステアリング、D型ステアリングホイールのメリット
そもそもD型ステアリングホイールはF1等のレーシングカーで採用が始まりました。
F1のようなレーシングカーの場合、ステアリングホイールのロックトゥロックは180度程度のため、走行中、レーシングドライバーは市販車両のように手を持ち替える必要がありません。
また、フォーミュラカーは空気抵抗を低減するためコックピットの位置が低く、空間が狭いため、ドライバーは寝そべったようなドライビングポジションを強いられます。
ステアリングホイールとドライバーのヒザのクリアランスを確保するためにD型ステアリングや特殊形状のステアリングが採用されたようです。
他方、市販車の普通車クラス以上であれば、ステアリングコラムにチルト機能が装備されています。ドライバーの体型に応じてコラムを動かしてセットすれば、ステアリングホイールとヒザのクリアランスを問題無く確保できます。
それなのに何故、楕円ステアリングホイールやD型ステアリングホイールが採用されているのか理解に苦しむところ。
楕円やD型ステアリングホイールが時代のトレンドなのかもしれませんし、デザイン性を優先しているのかもしれません。また、乗降性の向上はあるでしょう。
いずれにしても、市販車の場合、ステアリングホイールは真円に近い形状の方が使いやすいと個人的に思いますし、楕円ステアリングやD型ステアリングホイールのメリットを見出すことが難しいような気もします。
なお、高級スポーツカーはロックトゥロックの回転数が少ないこともあり、D型ステアリングホイールが採用されているのかもしれません。
楕円ステアリング、D型ステアリングホイールのデメリット
ジムカーナやラリー、ドリフトの世界では、ドライバーは忙しくステアリングホイールを左右に回し続けるため、真円に近いステアリングホイールが好まれます。
一般車両の場合、ドライバーが走行中に忙しくステアリングホイールを左右に回すことは多くはありません。車庫入れの時、素早くステアリングを回す程度。
今まで、真円に近いステアリングホイールを握ってきたドライバーが楕円ステアリングを握りながら運転すると違和感を抱くことがあります。
ステアリングホイールを左右にフル転舵する際、ステアリングが上下にブレながら回転するため、手を持ち替えた時にハンドルを持ちにくく感じるドライバーがいると思います。
管理人が初めてTOYOTA 20系プリウスのステアリングホイールを握った時、ステアリングホイールを左右にフル転舵するとステアリングが上下にブレながら回転するため、「何だこれ?」と違和感を抱いた記憶があります。
ドライバーは感覚的にステアリングホイールの直径を感じているもので、楕円ステアリングホイールを左右にフル転舵すると直径が刻々と変化していくため、ハンドルを掴みにくいと感じるドライバーもいると思います。
以上が楕円ステアリングのデメリットなのかもしれません。
まとめ
日本車、欧州車、アメ車のほぼ全ての自動車のハンドルと助手席側のダッシュボードにエアバッグが標準装備されています。
モータースポーツのシチュエーションを除き、ステアリングホイールを社外品へ交換するオーナーがめっきり少なくなりました。
しかし、かつてナルディ/NARDIやモモ/MOMOを愛用していたオーナーもいるのではないでしょうか。
シンプルなデザインで真円のナルディやMOMOは使いやすいステアリングホイールということもあり、これらはモータースポーツの世界では根強い人気があります。ちなみに、管理人はイタルボランテとMOMOを愛用していた時期があります。
今や純正のステアリングホイールにはエアバッグはもちろん、オーディオや各種スイッチが組み込まれていることもあり、社外品への交換が難しくなってしまいました。
そんな背景からも、クルマ選びの中でステアリングホイールのデザインも無視できない大切な要素と言えます。